こんにちは!『The Crafty Garden Lab』の管理人Kouです!
今回のテーマは、『ボスウェリア・サクラの一般的な発芽率7%の真偽』です
検証の目的:発芽率7%とされる理由を探究
ボスウェリア・サクラはその美しさと希少性で人気ですが、発芽率の低さに苦労する方も多いと思います。そこで今回は、浮沈テストを活用して発芽の可能性を探る実験を行いました。(インターネット上では、ボスウェリア・サクラの発芽率は7〜14%とされています。)
この検証をするにあたって、『ボスウェリア・サクラ成長記録発芽から17日目|本葉の展開か始まる』で一つの仮説を立ててみました。
仮説:ボスウェリア・サクラの発芽率が低い理由は、発芽見込みのない種子まで分母に含まれている。
インターネット上で公表されている発芽率の分母にどんな種子が含まれているかわかりません。わたしが育てているボスウェリア・サクラは、浮沈テストで浮いた種子は全て発芽しませんでした。発芽見込みがない種子を発芽率の分母に加えることは間違っています。立てた仮説を今回の検証で立証し、ボスウェリア・サクラの正確な発芽率を求めていきます。
浮沈テストとは:種子の発芽可能性を評価する簡易的な方法の一つで、種子を水に浸けて『浮く』か『沈む』かを観察するものです。この方法は、種子の健康状態や発芽可能性を推測するために使われます。
補足として、浮沈テストで浮いた種子の中にはしっかりとした胚乳が入っているが浮いてしまう種子があります。表面張力によって種子が浮いてしまうので、この場合、浮沈テスト時に軽く容器を揺すったり、棒でかき混ぜたりすると表面張力で浮いてるだけの種は表面張力が崩れて沈みます。
検証の内容:浮沈テストの有意性はどのくらいあるのか
- 浮沈テストの正確性の検証
ボスウェリア・サクラの種子で浮沈テストをした場合、非発芽種子を選別できるのか。 - 浮沈テスト結果別の発芽率の検証
発芽率を検証することで、浮沈テストの正確性を裏付けする。 - 考察
検証の手順
今回用意した種子を販売店ごとに浮沈テストで選別し、メネデール100倍希釈液に浸漬後に播種します。詳細は以下に記載しました。
- 使用した種子
- 今回は45粒の種子を用意。
- 販売店は前回と同じSEEDSTOCKで24粒、Etsyというインターネットサイトのseedsbypostという販売店で21粒、合計45粒を用意。
- 下処理の条件
- 浮沈テストで浮いた種子と沈んだ種子を選別
- 浮いた種子と沈んだ種子を販売店で分けてメネデール希釈液に浸漬
- メネデール希釈液は前回と同じ100倍希釈液に14時間浸漬
- 播種の環境
- 温度:15〜30℃(薪ストーブに委ねています。)
- 湿度:35〜45%
- 光環境:植物用育成LEDライト14時間点灯(5:00〜19:00)
- 用土:小粒赤玉土のみ
- ポット:プラポット黒色
- 水管理:水道水の腰水(水深1cm)
浮沈テストの正確性を検証するために浮いた種子と沈んだ種子の全てを同じ環境で播種します。
発芽率の分析
今回の検証では、合計69粒の種子を用いて検証を行っています。内訳は、前回購入した24粒と今回新たに購入した45粒です。
前回と今回で異なる点としては、ポットが変わっています。前回は自作のペットボトルポットを使用し、今回は市販のプラポット黒色を使用します。
以下の表は、販売店ごとの浮沈テスト結果と発芽率を比較したものです。
販売店 | 浮沈テスト | 発芽数 | 発芽率 | |
SEED STOCK | 沈む | 3 | 2(※2) | 66.6% |
浮く | 21 | 0 | 0.0% | |
seeds bypost | 沈む | 0 | 0 | 0.0% |
浮く | 21 | 0 | 0.0% | |
SEED STOCK (前回) | 沈む | 14 | 5(※1) | 35.7% |
浮く | 10 | 0 | 0.0% | |
合計 | 沈む | 17 | 7(※1,2) | 41.1% |
浮く | 52 | 0 | 0.0% |
※ SEEDSTOCK(前回)に関する記事については、『ボスウェリア・サクラ成長記録』をご参照ください。
※1 子葉(双葉)展開したが成長途中で枯死した個体数1が含まれます。
※2 発根したけど殻を脱げず子葉展開に至る前に枯死した個体数1が含まれます。
考察
- 浮沈テストの正確性
- 販売店別による浮沈テスト結果と発芽率
- 浮沈テスト結果からみる発芽率
- ボスウェリア・サクラの発芽率
以下に、考察の詳細を述べていきます。
1.浮沈テストの正確性
今回の検証では、浮沈テストによって沈降した種子からの発芽は確認できました。しかし、浮いた種子からの発芽は認められませんでした。このことから、浮沈テストによる種子の発芽可能性を確かめる方法は有用で正確性は高いと言えます。
2.販売店別による浮沈テスト結果と発芽率
販売店別では、SEEDSTOCKで購入した種子は浮沈テストで沈降し発芽しました。
seedsbypostで購入した種子は浮沈テストで沈降した種子は1つもなく、発芽した種子は1つもありませんでした。
このことから、販売店によって種子の質や状態が左右されることがわかります。
3.浮沈テスト結果からみる発芽率
今回の検証における発芽率の結果は、
・全種子(69粒)の発芽率は、10.1%。
・浮沈テストで沈降した種子(17粒)の発芽率は、41.1%。
・浮沈テストで浮いた種子(52粒)の発芽率は、0%。
となりました。
4.ボスウェリア・サクラの発芽率
今回の検証では、全種子の発芽率(10.1%)は、一般的な発芽率(7〜14%)の範囲内でした。このことから、一般的な発芽率とは『発芽可能性のある種子の選別を行わない場合の発芽率』であると考えられます。一方で、浮沈テストで沈降した種子の発芽率は41.1%に達しました。浮沈テストによる選別を行うことで、発芽率は向上します。しかし、購入した種子全体の中で発芽する個数そのものが増えるわけではありません。つまり、浮沈テストは『限られた種子の中で発芽する確率を上げる』方法であり、発芽する総数を増やすものではないという点を理解しておくことが重要です。購入するときに販売店が浮沈テストを行い、沈降した種子のみを販売していただけるなら、浮沈テストは購入者からするととても有用なものとなります。
浮沈テストで沈降した種子のみの発芽率は、前述した41.1%です。販売店によっては種子を納入時に浮沈テストなどで発芽可能性のある種子を販売しているところもあるかと思います。みなさんが種子を購入するときには納入してからある程度時間が経っているので、販売店が種子を適切に保管していても、ある程度の劣化は許容しなければならないと思います。把握できるのであれば、種子の採取日や納入時期、種子の保管方法がわかると、状態の良い種子を購入できるかもしれません。また購入者は購入する時期も考えなくてはなりません。極端に暑い時期や寒い時期の購入は手元に来るまでに種子の劣化が進んでしまいます。
最後に
今回の検証は小規模ではありましたが、浮沈テストがボスウェリア・サクラの発芽可能性を見極める有効な手段であることを示すことができました。これはボスウェリア・サクラを育てたい方にとって、非常に有益な方法と言えるでしょう。
今回の検証で浮沈テストを行い沈降した種子は全種子の24.6%です。もし販売店が沈降した種子のみを販売した場合、仕入れ値の約75%を販売する種子に上乗せしなければなりません。つまり、販売価格が大幅に上昇する可能性があり、商業的には難しい選択肢となるでしょう。そのため、購入者側が浮沈テストを実施し、発芽可能性の高い種子を選別することが、現実的な手段となります。
ボスウェリア・サクラの発芽率は決して高くはありません。しかし、それこそがこの植物を育てる醍醐味でもあります。発芽を促すために試行錯誤し、ようやく芽吹いた瞬間の喜びは格別なものです。今回の検証を通じて、浮沈テストが発芽率向上に役立つことが分かりましたが、それ以上に、この過程そのものを楽しむことが、ボスウェリア・サクラ栽培の本質なのではないでしょうか。
使用器材の紹介
1.BRIM 植物育成LEDライト
わたしが使用している育成LEDライトです。昼光色45Wを使用しています。1枚か2枚セットの販売で、2枚セットの方がお得です。

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2.SEEDSTOCK
ボスウェリア・サクラの種子を購入したインターネット販売店です。3,000円以上の購入で送料無料、2,000円以上の購入でサンプル種子がサービスで付いてきます。是非、ご活用ください。

3.プラポット
わたしが使用しているプラポットになります。スリットが入っているので腰水管理がしやすいです。形が四角なので余分なスペースを取りません。

スリット鉢 KP105 黒×50個 関東当日便
今回はここまでになります。今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
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